農業先進県おかやま2「郷土美術館めぐり」
温故知新

トラクターやコンバインなど、今日の農業機械のルーツをたどっていくと、鍬や鎌などの道具類、自然の力を利用した水車などの装置、牛や馬などの家畜、最終的には人の手足にたどり着きます。
こうした能力は、現代から見れば、あまりに非力で未熟なレベルかもしれませんが、そこには、先人たちの知恵と工夫の跡をうかがうことができます。
農業先進県と言われる岡山県。各地で営々と取り組んできた農業の足跡を探訪します。


第16回

新庄村歴史民俗資料館

〒717-0201 岡山県真庭郡新庄村
TEL.0867-56-3178(新庄村教育委員会)

休館日  新庄村教育委員会閉庁時
開館時間 新庄村教育委員会への事前予約が必要
入館料 100円
駐車場 有り
勝北歴史民俗資料館
江戸中期の雰囲気を残す、茅葺屋根の民俗資料館

岡山県真庭郡新庄村。鳥取県と接する中国山地の山間に新庄村歴史民俗資料館はあります。

村イチ押しの特産品「ひめの餅」で有名ですが、そのほかに、肉用牛、乳牛の飼育、シイタケ栽培、林業が盛んです。
村役場近くにある新庄村歴史民俗資料館は、江戸中期に建てられた茅葺屋根民家を新しく移転建築したもの。この中に、民具など約500点を展示。昔の暮らしを肌で感じることができます。

かつて「役牛(えきぎゅう)」がいた

こじんまりとした土壁造りの建物ですが、この建物は、かつての農家の典型的な姿を教えてくれます。それは、牛や馬を、農作業の貴重な動力源として頼っていた時代の暮らしぶり。牛や馬は、現代におけるトラクター、耕運機の代わり。ひとつ屋根の下で、家族同様に暮らし、大切に育てていたのでした。
今でこそ「肉用牛」となっている和牛ですが、ほんの数十年前までは「役牛(えきぎゅう)」とよばれ、農作業や運送業の仕事を担ってきました。牛の価値は、今とは比べものにならないほど高いものであったことが、家の間取りからも推測されます。

農業機械の台頭と、黒毛和牛肉の歴史

昭和20(1945)年頃まで、牛は役用が主な飼養目的でしたが、昭和30年頃から始まった農業の機械化とともに、その役割を終えることになります。
その一方で、牛は肉用へと役割を変えていきます。日本の在来種の牛は、ヨーロッパ品種と交雑させることで改良がおこなわれ、ついには、世界的な評価を得ることになる霜降りの入った肉質の「黒毛和牛」が誕生することになるのです。
牛と農業機械。かたや役割を終え、かたやバトンタッチを受けて台頭・普及。それぞれのたどった道をあらためて教えてくれる資料館でした。

当社で製造している
農業機械部品の一例
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